町では、老朽化する西原町中央公民館等を「新たな交流や賑わいの拠点」として創り変えていくため、令和3年度から官民連携手法(P
FI等)の活用を前提とした再整備事業の検討を行ってきました。
令和4年度からは「西原町中央公民館再整備基本計画」の策定業務に着手し、町民・地域・民間事業者・その他関係者のみなさまのご協
力のもと、丁寧な意見交換と調査・検討を重ね、新たな施設に求められる必要な諸室・機能等を整理し、令和5年9月、「新たな町民活躍の拠点づくり基本計画(案)」として取りまとめることができました。
しかしながら、昨今の物価高騰等の影響を主因として、想定していた事業費が大幅に増額となったことから、教育や福祉などのその他事
業への影響も考慮し、再整備事業をこのまま進捗していくことは困難であると整理し、本事業を「一時休止」することを決断しましたの
で、経緯等について、以下、ご報告します。
1978(昭和53)年に建設された「西原町中央公民館」は、文化活動拠点として多くの町民に利用され、様々な活動が展開されてきまし
たが、施設・設備等の老朽化が進み、多種多様な町民ニーズへの対応が困難な状況となっていました。
また、中央公民館の敷地内には、同様に老朽化が進む「社会福祉センター」や町で唯一の介護予防拠点施設「いいあんべー家」などの建
物が立地しておりますが、中央公民館を含め各施設とも個別に運営業務・維持管理業務が行われるなど非効率な施設管理体制となっている
ことについても共通の課題でした。
そこで、敷地内建物の集約化・複合化を図り効率的な施設運営・管理体制を構築すること、また、その取組みを官民連携手法(PPP/
PFI等)の導入により行財政負担の軽減等を図りつつ実施しうるか、この視点を踏まえ、令和3年度に「西原町中央公民館および周辺土
地活用に係る民間活力導入可能性調査」を実施し、「官民連携事業としての有効性」について確認することができました。
なお、本調査においては、以下のとおり、想定事業費が試算されています。
【想定事業費】 約12億円(施設整備費:約9億円、管理運営費:約3億円)
その後、令和3年度調査の結果を踏まえ、新たに整備していく施設のコンセプト、導入機能、施設計画、事業スキーム等を整理するための 「西原町中央公民館再整備基本計画」の策定に向けた取組みを令和4年度から進めてまいりました。
(令和4年度西原町中央公民館再整備基本計画策定業務の主な取組)
令和4年 7月 第1回西原町中央公民館再整備検討委員会
「西原町中央公民館再整備に関する事項ついて」町長から諮問
令和4年 8月 町民アンケート調査
令和4年 8月 県内先進公民館の視察(繁多川公民館、若狭公民館)
令和4年 9月 機運醸成に向けた講演会
令和4年 9月 32行政区ヒアリング調査(調査協力:琉球大学工学部)(~令和4年11月)
令和4年10月 関係団体向け事業説明会(協力:西原町商工会)
令和4年10月 第1回新たな中央公民館を考えるゆんたく会(町民ワークショップ)
令和4年11月 第2回新たな中央公民館を考えるゆんたく会
令和4年12月 第3回新たな中央公民館を考えるゆんたく会
令和5年 1月 西原町行政区自治会長会ワークショップ
令和5年 2月 第2回西原町中央公民館再整備検討委員会
令和5年 5月 第3回西原町中央公民館再整備検討委員会
令和5年 5月 民間事業者サウンディング調査(~令和5年6月)
令和5年 7月 第4回西原町中央公民館再整備検討委員会
令和5年 9月 第5回西原町中央公民館再整備検討委員会
「西原町新たな町民活躍の拠点づくり基本計画(案)」として町長に答申
※上記、掲載取組以外にも関係者との意見交換や内部調整等を随時実施しています。
令和4年度に着手した基本計画策定に向けた取組みについては、上記のとおり、町民や地域、民間事業者やその他多くの関係者のみなさ まのご協力を受けながら、最終的には、令和5年9月7日に開催されました第5回西原町中央公民館再整備検討委員会において、「西原町 新たな町民活躍の拠点づくり基本計画(案)」(以下「基本計画(案)」という。)として町長へ答申が行われました。
基本計画(案)について、以下に掲載します。
「西原町新たな町民活躍の拠点づくり基本計画(案)令和5年9月」(本編)
「西原町新たな町民活躍の拠点づくり基本計画(案)令和5年9月」(概要版)
基本計画(案)では、新たな施設に対する町民や地域からのニーズ、民間事業者や関係者からの意見等を踏まえ、さらに、本事業への地 元企業の参画機会や昨今の物価高騰の影響等にも十分留意しながら、慎重に分析・精査が行われていますが、その中でも、想定事業費につ いては令和3年度調査から大幅な変更(増額)が見込まれる結果となりました。
【想定事業費】 約30億円(施設整備費:約24億円、管理運営費:約6億円)
想定事業費の増額要因としましては、集約化・複合化していく施設(公共部分)の想定必要面積が、令和3年度調査時点(2816㎡)
に対し、3120㎡と1割程度増数となったことはあるものの、世界的な物価高騰や建築経費の上昇等による影響が最も大きく、直近の単
価等で試算した結果、施設整備費に関しては2倍以上の金額が示されることとなりました。
なお、本事業については、既存建物の解体や新たな建物の設計・建設・維持管理・運営、ほぼ全ての業務を一括発注することを想定して
おりますが、資金調達に関しては行政が担う「DBO方式」を優先検討の手法として整理していることから、膨れ上がった想定事業費の財
源確保・資金調達を確実なものとしながら事業を進捗しなければならず、令和5年9月以降、その調整に取り組んできました。
基本計画(案)の中で示された想定事業費(特に施設整備費)の財源に関しては、沖縄振興関連予算や地方債(特定の事業の実施に必要 となる予算について、金融機関等から中長期的に資金を借り入れるお金、いわゆるローンのような仕組み)の活用を前提に関係機関協議を 進めてきましたが、結果として、以下概要のとおり、各種支援制度の活用が困難であるとの整理に至りました。
(調整概要)
① 沖縄振興特定事業推進費(内閣府・8/10補助)
・交付要件の「機動性」整理が困難。
② 沖縄振興特別推進交付金(内閣府・8/10補助)
・想定事業費に対する町配分額が大幅に不足。
③ 地方創生拠点整備交付金(内閣府・1/2補助、上限額5億円)
・交付要件(5要件)の一部が整理困難。
(仮に整理できた場合においても、交付上限額の設定により充当額が大幅に不足)
④ 企業版ふるさと納税制度による寄附(内閣府)
・企業寄附であることから、本制度により獲得できる財源額が不明瞭であり確実性が乏しい。
⑤ 地方債(一般補助施設整備等事業債・一般単独事業債)
・前述の①~③の支援策との併用が前提となるため単独での活用は劣後。
⑥ 想定事業スキームの切り替えによる検討可能性
・事業スキームを「PFI-BTO方式」(資金調達を民間に委ねる)と想定した場合においても、プロジェクトファイナンス(特別
上記を踏まえ、本事業の進捗可否の判断基準として、以下のとおり総括します。
① 昨今の物価高騰、建築経費の上昇等の影響により想定事業費が当初試算の2倍以上に増加
② 財源として想定していた各種支援策の活用が見込めない
③ その他の補助金・交付金、事業手法等を活用しても、町の一般財源(財政負担)への影響が非常に大きい
中央公民館等を含む各施設が抱える現状課題を解決し、より質の高い行政サービスの提供体制を構築するために取り組んできた本事業で はありますが、前述の状況を踏まえますと、現時点において本事業を進捗し続けることは、一般財源へ大きな負担を生じさせ、将来的な財政逼迫を招きかねず、そのことから教育や福祉その他の事業等に対しても大きな影響を及ぼす可能性が危惧されることから、庁内における慎重な議論の結果、令和5年11月14日の庁議において本事業を「一時休止する」との結論に至りました。
本事業に取り組む中で整理された基本計画(案)については、多くの関係者のみなさまの想いや声が随所に反映された非常に意義深いも
のとなりました。この基本計画(案)は、今後の検討再開の際の有意な資料として、「案」のまま保留としていくこととします。
一方、本事業を休止することは、中央公民館含め検討対象としてきた施設の現状課題をそのまま残存し続けさせることとなりますので、
その対策については、関係機関との情報共有、意見交換、協力・連携を図りながら、引き続き、継続して取り組んでいくこととします。
最後に、本事業の取組みに当たっては、アンケートやワークショップにご協力をいただきました町民のみなさま、ヒアリングや訪問調査 にご協力をいただきました地域・自治会のみなさま、個社のノウハウを含め貴重な意見交換をいただきました民間事業者のみなさま、検討 対象の施設当事者であった西原町社会福祉協議会や西原町シルバー人材センターの担当者のみなさま、その他個別に意見交換を行った関係 者のみなさまや個別調査にご協力をいただきました琉球大学工学部小野研究室に加え、それら情報を踏まえ、丁寧な審議をいただきました 西原町中央公民館再整備検討委員会委員のみなさまのご協力とご支援に対して、心から感謝を申し上げます。
本件に関するご意見やご質問などありましたら、以下担当までお問い合わせください。
総務部 企画財政課 チャレンジプロジェクトチーム
TEL:098-945-4533
メール:c-project@town.nishihara.okinawa.jp